私たちは子ども食堂が終わった後が実は本番だと思っています。
食べて終わり、ということにはしたくないですから。

広瀬香織
しこくらいふの高坂類と皆尾裕がWebを飛び出し、四国・新居浜の魅力をラジオで発信するHello!NEW新居浜FM78.0「ラジオしこくらいふ」
毎回地元で活躍するゲストを招き、しこく愛あふれるトークをお届けしています。
Webしこくらいふでは、しこく新居浜の魅力満載のラジオトークをダイジェストでご紹介します!
今回のゲストは日本キリスト教団新居浜教会牧師であり新居浜子ども食堂中村松木店共同代表でもある 広瀬香織 さんです。

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皆尾:
時刻は12時10分を回りました。Hello!NEW新居浜LIVEのお時間でございます。
あかがねミュージアムからお送りしています。
月曜日のお昼は「ラジオしこくらいふ」ということで、髙坂編集長とお送りします。

髙坂:
はい。クリエイターによる四国の魅力発進の取り組み「しこくらいふ」のラジオ版、「ラジオしこくらいふ」ということで、第17回をお届けさせて頂きます。
新居浜市のデザイン事務所hinkDESIGNの髙坂類です。
よろしくお願い致します。

皆尾:
よろしくお願いします。

■ 本日のゲスト登場!

皆尾:
今日も素敵なゲストにお越し頂いておりますけれども!
ご紹介頂けますか?

髙坂:
はい。本日は、日本キリスト教団新居浜教会の牧師で、「新居浜子ども食堂」の共同代表も務めておられる広瀬香織さんにお越し頂いております。
よろしくお願いします。

広瀬:
よろしくお願いします。

皆尾:
よろしくお願いします。
お2人は災害の方はいかがでしたか?大丈夫でした?

髙坂:
はい。

広瀬:
はい、おかげさまで大丈夫でした。

皆尾:
それは何よりです。

髙坂:
広瀬さんは東京都ご出身なんですよね。簡単な自己紹介からお願い致します。

広瀬:
私は出身が東京都の大田区という所です。
日本キリスト教団の牧師、そして先ほどご紹介頂いた通り、新居浜子ども食堂の中村松木店で共同代表もさせて頂いております。
新居浜の方には2004年に参りまして、新居浜教会の牧師を続けさせて頂いております。

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■ 東京出身の広瀬さんが四国に憧れていた理由

髙坂:
広瀬さんが新居浜に来られたご縁っていうのは…

広瀬:
はい。もともと私は神学校にいた時から、非常に四国に憧れておりまして。
私、渋谷が遊び場で、渋谷のスクランブル交差点が非常に好きだったんですけれど(笑)。

皆尾:
あの、日本代表が勝ったら「ワーーー!!!」ってやる所ですね?(笑)

広瀬:
はい、「ワーーー!!!」ってやるような街ですけど(笑)。
渋谷で、聖書を頂いたんですね。中学3年生の時に渋谷の駅前でたまたま聖書を渡している団体がありまして。
そこから牧師になろうと、短大を卒業した後に神学校に行って、「着任するにはどちらがいいだろうか?」と思った時に、四国はすごく人気があるんですね、牧師の間では。非常に倍率が高いというか(笑)。

髙坂:
そうなんですね!

皆尾:
へぇーーー!

広瀬:
というのはやはり、四国はお遍路さんの地であり、非常に信仰レベルが高いんですね。
仏教の人もキリスト教の人もものすごく信仰熱心。聖書をとても丁寧に読んだり、仏教の方もお接待の精神だったりとかがキリスト教とも相通ずる所があったりして、私はすごく四国に憧れていたんです。
それで四国に来ることができたのでとても喜んでおります(笑)。

皆尾:
それが2004年頃の話なんですね。

広瀬:
そうですね。

皆尾:
へぇーーー。四国ってやっぱりお遍路がありますから、めちゃめちゃ仏教の印象が強いですけどね。

広瀬:
そうですね。

でも、同行二人(どうぎょうににん:お遍路さんはいつも弘法大師と一緒に巡礼しているという意味)という言葉がありますが、私たちもイエス様と二人三脚で歩んでいくっていう意味ではすごく共通点がありますし、お接待(地元の人間がお遍路さんに対して食べ物や宿を無料で提供すること)の精神っていうのも、私たちキリスト教徒からしたら「神様と人とに仕えていく」っていう所で親近感を感じます。
ある意味では子ども食堂もお接待の精神と言えますね。
仏教もキリスト教も、愛をもって伝えていくっていう所に共通のものを感じています。

後は四国の豊かな自然に惹かれたというのもありますね。東京では見られないですよ、あの、しまなみの風景というのは。

あと、四国は温暖な地域ですよね。私はすごく寒がりなので、温暖な地域っていうのにも憧れていて(笑)。

髙坂:
温暖ですよね(笑)。

広瀬:
はい。すごく温暖で過ごしやすいですね。

■ 汗だらけ泥だらけの日曜礼拝

髙坂:
実際来られて「よかった!」と思われる所ってありますか?

広瀬:
私が2004年に新居浜に来る前は、島根県の教会で5年間牧師をしていたんです。
島根県は島根県ですごく素敵な場所なんですけれども、冬がすごく寒い!もう11月ぐらいから。

皆尾:
うんうん、北が海ですもんね。(編集注:「北が海」はDJフロリダが新潟県<←北が海>出身の髙坂をいじる持ちネタ)

髙坂:
………(笑)。

広瀬:
北が海で日本海っていうのは結構厳しくって…しもやけっていうものが人生で初めてできました(笑)。

髙坂:
東京ではしもやけにならなかった?(笑)

広瀬:
東京ではならなかったですね(笑)。
島根県で初めて「しもやけとはこういうものか。」と(笑)。

髙坂:
しもやけの洗礼を受けたんですね。

広瀬:
日曜日も雪かきをして信徒さんたちを待つという生活だったんですけど、教会が丘の上にあったので、皆さん雪で車がスリップして途中で登れなくなるのを私が後ろから押して、泥だらけになってから礼拝が始まる、っていう(笑)。
汗だらけで牧師が出てくる(笑)。

髙坂:
車で上がらないといけないんですか?

広瀬:
車で上がらないと、皆さんもう人力では登れないというか(笑)。
なかなか過酷な教会だったので、牧師が車を丘の上の駐車場まで1台1台押して、それから礼拝が始まっていましたね(笑)。
新居浜では全くそういうことはないので(笑)。

髙坂:
気候的な面もすごく大事ですね(笑)。

広瀬:
はい(笑)。

髙坂:
広瀬さんが感じる新居浜の魅力は何ですか?
東京のご出身なのでいろいろ違いがあると思いますが。

広瀬:
新居浜の魅力は、ものすごくたくさんあると思うんですけど、東京だったら山に行くにしても海に行くにしても結構時間かかったりしますけど、新居浜ではすぐそこに30分ぐらいで別子山があって、ちょっと行っただけでマリンパークがある。
それに町中でホタルが見れるし、池田の池のショウブ祭りや、山田自治会館のアジサイ祭りもすごくきれいです。
まさにコンパクトシティという感じで、よいものがギュッと凝縮しているような街だなぁ、というふうに思っています。

■ 子ども食堂のきっかけは1人の男の子だった

皆尾:
広瀬さんは子ども食堂の共同代表もされてますよね。
子ども食堂って最近よく耳にするようになってきましたが、改めて子ども食堂とはどういうものなのか?教えて頂きたいんですけども。

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広瀬:
今、7人に1人の子供が貧困状態にあると言われていますけども、子ども食堂というのは、そうした子供たちに対して、民間の組織が食事を無料または低価格で提供する取り組みですね。

実は新居浜教会の場合は、子ども食堂をやりたくて始めた訳ではないんです。
私が着任した2004年に1人の男の子が教会に駆け込んできたんですね。
その子はいじめっ子から逃げて、「教会にかくまってください。」ということで飛び込んできたんですが、かくまったその子が教会の台所にトコトコっと行って冷蔵庫を開けて中身を全部食べていたんです。
最後は天かすまで袋をさかさまにして口に当てて全部食べているという状態で。

それで、色々聞いてみますと、その子はシングルファーザーのご家庭で「お父さんは夜9時とか10時とかにならないと帰ってこない。お腹がすいた時に食べれるものがあったらとにかく全部食べるっていうのが家のルールだ。」っていうことだったんです。
だから、その日その子が教会に来た時お腹すいていたんでしょうね。で、家のルールだと食べれるものは全部食べるということだったので、教会のものも全部食べた、と(笑)。

皆尾:
その子がその時教会に駆け込んだのは家庭内の虐待とかそういうことだったんですか?

広瀬:
じゃなくて、いじめっ子に追いかけられてうちの教会に飛び込んだ、ということでした。
窓を少し開けて見てみると、いじめっ子たちがウロウロキョロキョロしてましたので、彼らが帰るまでしばらくかくまっていたんです。

そこから、妹さんや弟さんも教会に来るようになって、今度は妹さんや弟さんの同じようなお友達が来るようになって、今度は更にそのお友達がお友達を呼んで…もう1週間で100人ぐらいの子供たちが延べ人数で来るようになって。

それで、子供の貧困っていうものをちょっとずつ実感していったので、「子供たちの居場所を作ろう。」ということで、全国から募金を募って教会のお隣に教育館というものを建てました。
その頃にはまだ「子ども食堂」という言葉すらなくて、全てポケットマネーで運営していたんですが、2016年からようやく子ども食堂という名前で活動するようになりました。

髙坂:
月に1度くらいの頻度でされてるんですよね?

広瀬:
月に1回と、フードバンクと契約してますので、お米がないとか、そういうことがあったら、うちに貰いに来てもらったら対応させて頂いてます。

髙坂:
子ども食堂を始められて、来られる方っていうのはかなり増えているんですか?

広瀬:
そうですね。
今回の6月で第24回目の開催なんですが、830人を超える方々に来て頂いています。
お子さんも親御さんも。それから貧困の青年たちですね。
色んな立場の方々が来られています。
新居浜西高、南高の高校生が熱心にボランティアをして下さっています。

髙坂:
広瀬さんは子供の貧困の実態に触れられて、子ども食堂を始められたんですね。

広瀬:
私もこっちに来てからそういう子供たちがいることに気が付きました。

私は自分の実家が大家族で、いつも家に近所の方が誰か来ていたので、子ども食堂も実家の延長のような所があります(笑)。
私の両親やおばあちゃんなんか、ものすごくおせっかいで、いつも大鍋で料理を作ってご近所に配ってたりとか、大きなお釜が家に2つあって、たくさんの料理を作るというのが実家では当たり前だったんですね。
夏になるとおばあちゃんが近所の子供たちに浴衣を着せてあげるとか、そういう家庭でした。

皆尾:
いわゆるサードプレイスと言うんですかね、家庭と学校と、第三の居場所というか。
広瀬さんがされてる子ども食堂はそういう役割も持ってるような印象があるんですけども。

広瀬:
そうですね。教会というものがまさにサードプレイスだと思います。

皆尾:
2004年ごろからそういうことをされているということですけども、子ども食堂の利用者は年々増えているんですか?

広瀬:
そうですね…。政府が色んな対策を打ち出してきていますので、数パーセントは下がってはいるんですけれども、まだまだ油断できない状況が続いています。

子ども食堂が終わった後にメールとか電話で「実は3日も食べてません。」とか、「お米が欲しいです。」といった連絡がくるんです。
だから、私たちは子ども食堂が終わった後が実は本番だと思っています。
どういう市議会議員さん、どういう窓口、どういう病院に繋ぐのか?そういうネットワークを持ってないと。
食べて終わり、ということにはしたくないですから。

その後を繋げていって、その方が孤立しないように色んな会なんかも設けています。
例えば、シングルマザーの会っていうのがあるんですけども、子ども食堂に来られてる方にはシングルマザーの方も多いですので、シングルマザーの方が本音で喋れる場になれば、と教会でシングルマザーの会も開いています。
それから、AA(アルコール・アノニマス)というアルコール依存症の方のための会も教会で開いています。アルコール依存症の方々は孤立したり差別されたり、家族から離れて1人で住んでるという方もいらっしゃいますので。

皆尾:
虐待で亡くなったお子さんの痛ましい話とか、保護されたお子さんの話とかで、何日も何日も食べてないという話をよく聞きますし、ここ新居浜でもそういう事態がたくさん起きているということをなかなか知らない人も多いですよね。

髙坂:
広瀬さんはそういう実態をご覧になってきているんですもんね…。
教会に駆け込んできた男の子はきっと「ここだったら。」っていう思いだったんでしょうね。

広瀬:
全然私とは面識のない子だったんですけどね。たまたまだったとは思うんですけど。
彼はもう成人して大人になっていますけど、今もずっと関わり続けて頂いています。


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