中学校の思い出と高校の思い出が、僕の中でずっと燃えていることが、その後プロになっても演劇をやり続ける動機になったっていう感じがすごくあるんだよね。

鴻上尚史
 
 
しこくらいふの高坂類と皆尾裕がWebを飛び出し、四国・新居浜の魅力をラジオで発信するHello!NEW新居浜FM78.0「ラジオしこくらいふ」
毎回地元で活躍するゲストを招き、しこく愛あふれるトークをお届けしています。
Webしこくらいふでは、しこく新居浜の魅力満載のラジオトークをダイジェストでご紹介します!
今回のゲストは新居浜市出身で、脚本家、映画監督、小説家、エッセイスト、ラジオパーソナリティなどとして幅広く活躍されている鴻上尚史さんです。

 

皆尾:
ここからは「ラジオしこくらいふ」の時間です。
一緒にお届けしておりますのは、WEBマガジン「しこくらいふ」の編集長、髙坂類さんです。

 

髙坂:
はい。よろしくお願い致します。
「ラジオしこくらいふ」第26回始まりました。

 

■ 本日のゲスト登場!

 

皆尾:
この「ラジオしこくらいふ」も祝!1周年!ということで。

 

髙坂:
はい。そうですね。Hello!NEW新居浜FM78.0が開局の時からさせていただいておりますが…本日はなんと…私も、今、今、まだ、信じられないのですが…

 

皆尾:
なんか顔面蒼白ですけど(笑)。

 

髙坂:
(笑)。ちょっと緊張しすぎて卒倒してしまったら申し訳ありません。
本日、ゲストには新居浜市出身の作家・演出家、鴻上尚史さんをお招きしております。
鴻上さん率いる「虚構の劇団」の『ピルグリム2019』愛媛公演で新居浜にいらっしゃっているところ、公演のお忙しい合間を縫ってゲストとしていらしていただくことができました。
ありがとうございます。

190324_026_サードステージ鴻上尚史さん

皆尾:
ようこそ~!

 

鴻上:
今日はこんにちは!

 

(拍手)

 

鴻上:
どうもありがとうございます。

 

髙坂:
本日はどうぞよろしくお願い申し上げます。

 

皆尾:
よろしくお願いします。

 

髙坂:
現在ちょうど初回の公演を終えたばかりの所をいらして頂きました。
僭越ながら、鴻上さんのプロフィールを簡単にご紹介させて頂ければと思います。

鴻上尚史さん。1958年愛媛県新居浜市生まれ。新居浜西高校を卒業後、早稲田大学法学部へご進学。
早稲田大学演劇研究会に所属され、在学中の1981年に劇団「第三舞台」を結成。大学構内の講堂裏特設テントで旗揚げ公演『朝日のような夕日をつれて』を作・演出。その後はチケット即完売。大入り満員の人気劇団となり、一世を風靡します。
その後、1987年『朝日のような夕日をつれて』で紀伊国屋演劇賞、『天使は瞳を閉じて』でゴールデン・アロー賞、『スナフキンの手紙』で岸田國士戯曲賞を受賞。
2001年『ファントム・ペイン』の公演で劇団「第三舞台」は10年間活動を封印されます。
2008年に若手俳優を集めて旗揚げされた「虚構の劇団」の活動を中心に、映画監督、小説家、エッセイスト、ラジオパーソナリティ、脚本家などとして幅広くご活躍されていらっしゃいます。

今日は本当によろしくお願い致します…!

 

鴻上:
よろしくお願いします。

 

皆尾:
もう、緊張が伝わってくるゲスト紹介でしたが(笑)。

 

髙坂:
申し訳ございません!(笑)

 

皆尾:
今の紹介は主にウィキペディアからですか?

 

髙坂:
ウィキペディア…および、ホリプロオフィシャルサイトから抜粋をさせて頂きました…。

 

鴻上:
あー、ホリプロか。あー。
それはサードステージ(第三舞台)のホームページの方がよかったね。

 

髙坂:
あっ、そうですね、申し訳ございません…!

 

鴻上:
まぁまぁでも全然大丈夫です。

 

髙坂:
大丈夫ですか、申し訳ございません。

 

■ 「ピルグリム2019」新居浜公演

 

皆尾:
いやーでも熱狂冷めやらぬという感じですね。私も観劇しましたけれども。
鴻上さんどうですか?手応えといいますか。

 

鴻上:
新居浜にお邪魔するのは、もう4回目になりますけど、お客さんもおなじみの人というか、観方も慣れた人が増えてきたという感じですね。
こんなこと言うのもなんなんですけど、せっかく新居浜に呼んでもらって来てるので、空席があると悲しいです。
新居浜市のお力によって、高校生1500円ですからね。
高校生がいっぱい観てくれると、すごくいいのになー、って思うんですよね。

 

皆尾:
そうですよ。まだ間に合います!
今日!24日・日曜日の13時公演が!

 

鴻上:
若干ですけどね。
流石に最後は、東京・大坂含めての大千秋楽なので、コアな人たちは東京や大阪から来るので。
だから本当に、あとちょっとの空席しかないんですけど。
昨日の土曜の昼夜はちょっと惜しかったですね。残念です。

 

髙坂:
新居浜公演の手応えはいかがですか?

 

鴻上:
お客さんはみんな、すごく温かく受け入れてくれるので、俳優やスタッフたちも喜んでますね。

 

髙坂:
今回、伝えたかったメッセージというのはどんな所に…?

 

鴻上:
まぁ、それは観てもらうしかないので。是非、だまされたと思って観てもらいたいですね。

演劇ってどうも、映画に比べてハードル高いってみんな思いがちなんだけど、僕も新居浜にいて演劇始めたのは、演鑑(全国演劇鑑賞団体連絡会議の略称)、その当時は労演(勤労者演劇協議会の略称)って呼ばれる組織があって、2、3ヶ月に1回、新居浜にも芝居が来てたんだよね。
2、3ヶ月に1回なんだけど、その1回をむさぼるように観て、自分の中で反芻し続けることで僕は演劇人になった。
東京行って、同世代の東京生まれ東京育ちの奴に聞くと、東京では毎週のように伝説の舞台がある訳よ。
唐十郎という人だったり、寺山修司という人だったりの舞台が毎週のようにあると、自分で考えるってことがなかなかないんだよね。あまりにも次々と伝説の舞台が来るからね。
だけど新居浜で、1年に多くて2、3本しか観れないと、それを自分の中で何回も何回も考えるので、その経験が自分の中ですごく深く根を下ろすんだよね。

だから、是非、高校生にも観てもらえるといいなぁ、という風に思いながら4年目になってます。

 

■ 演劇人・鴻上尚史の原点。知られざる新居浜時代

 

皆尾:
当時、高校時代に舞台を観られていたのは文化センターですか?

 

鴻上:
ええ、文センでしたね。文センで何ヶ月かに1回観てました。

 

皆尾:
それは、新聞とかそういう情報をあさって知るんですか?

 

鴻上:
いやいや、親が教師だったんですけど、演鑑のメンバーだったので。
その演鑑っていうのはもう…松山には残ってるのかな?全国的には滅びゆく組織になっちゃってんだけど(笑)。

 

皆尾:
なんか、演劇を観る会のような団体なんですよね?

 

鴻上:
そう!メンバーになんないとチケットが手に入らないので。
でも逆にメンバーになるからこそ、持続的に劇団を呼べる。
だから東京とか大阪とか福岡とか、大きな都市では残ってる組織なんですよ。

演劇ってのは来年とか再来年とか、先の予定を決めていかなきゃいけないので、演鑑のメンバーが会費を出し合って「来年4本呼びます。」みたいなことでお金を毎年ごとに払う、っていうシステムなんですけど。

新居浜であったり、今治の時もあったんだけど、演劇を観るっていうのはなかなか定着しないので、減っていってる感じなんだよね。

 

皆尾:
当時は学生服で駆けつけて演劇を観ていたんですか?

 

鴻上:
そうですそうです!
それで、サービスでもあるんだけど、例えば「文学座さんが来ました。」っていうと、「照明機材とかの搬入を手伝える人は手伝ってください。」みたいなことになって。
そうすると僕らは触れるだけでうれしいから、照明機材運んだりする訳ですよ。
当時は感激してやってたけど、今思うとただの労働だね(笑)。コキ使われてたんです。
全然、いい話なんですが。

 

皆尾:
僕もラジオ番組でご一緒するにあたって、鴻上さんの幼少期の頃とか知りたいなって思ってウィキペディア見てみたりしても、ないんですよね!
で、最近出た劇団「新感線」の細川プロデューサーの本を見ると、中萩(なかはぎ)中学校時代にサークルを作って遊んだりしてたと。
高校の時に溜まってたっていう喫茶店「ぷち」?あれはどこらへんにあるんですか?

 

鴻上:
あぁ、「ぷち」。溜まりましたねぇ。
西の端をちょっと上がった所にあったんですけど、もうなくなりましたね。

僕は中学校、高校と闘ってばかりだった。闘ってきたからこそ今の僕がいる。
中学校の時は演劇部で。でも、放課後のクラブには入っとかなきゃいけないので、放課後は軟式テニス部でテニスやってて。
で、今はもうないのかな…昔で言う総合的学習の時間で、1週間に1回だけ別の部活を選べるから、それで僕は演劇部を選んだ。まぁ、演劇を選んだって言うか作ってもらったんだよ、「演劇したいんだよ!」って言って。

でも、週1回だけだと面白くないし、やっぱり文化祭で発表したい。でも、放課後はテニス部やんなきゃいけないから、「じゃあもう朝やろうぜ。」って言って。
朝7時とか、7時半とかから学校で練習して、文化祭が近づくと放課後の正規の方のクラブは「インフルエンザかかりました。参加できません。」って言って芝居の稽古して…みたいなことを中学2年の時やって。

 

髙坂:
(笑)

 

皆尾:
しょうがないですよね、インフルエンザだったら(笑)。

 

鴻上:
はい(笑)。
で、中学3年の時は、中学校を卒業してそのまま就職する子がいたから、就職する子たちがコンプレックスだったり怒りだったり色んな問題でクラスが荒れるっていう昔の戯曲を見つけてきて、「これやりたいな!」って思って。

で、顧問の先生に言ったら「中学生がこういうのやるのはどうかしら!?中学生らしくないと思うわ!」とかって言われて(笑)。「へぇー!?」みたいな話になり(笑)。
で、その顧問の先生を論破したら担任の先生が来て、担任の先生に対して文句言ってたら学年主任もやってきて(笑)。学年主任を論破してると教頭がやってきて、大人4人対1人っていう構図で(笑)。
結局その時は「上演はまかりならん。」って言われて、「ベニスの商人」っていうのをやったのね。そっからもうシェイクスピア嫌いが始まったんだけど(笑)。

それで、高校に入った時に、高校の演劇部には全国大会っていうのがあって、四国の地区大会に出て勝てば全国大会に行けるらしいことを演劇雑誌で知って、「愛媛の県大会はどこでやってんだ!?」みたいな話で盛り上がり。
調べたら東雲高校でやってるっていうから、顧問を説き伏せて高2の時に参加して行ったら、東雲高校と新居浜西高の2校しか出てなかった。
あの当時っていうのは、「文化部が交流することはよくない!」みたいな腐った考えがすごくあってね。
行ったら2校しかいないから、顧問の先生もすごい真っ青になって「なんでですか!」って話になって、俺たちは明らかにあの当時東雲高校演劇部よりいいものをやったんだけど、「そのまま中四国大会に行けるはずがない。」っていうのがどうもムードとしてあって、僕らは2位って言われて、東雲高校が中四国大会に行ったのね。

3年生になって「もう1回行きたいんだ!」っていう話をしたら、教育委員会が「我々は参加してもいいと思ってますけど、校長会の方がやめた方がいいって言ってますよ。」って言う。で、校長会に聞きに行ったら「いや、我々は参加していいって言ってるんですけど、教育委員会がやめた方がいいと言ってるんですよ。」って言う。
それで参加できなかったですね。

「ふざけるな!」と思ったら、それから10年後ぐらいに、演劇大会の全国大会が愛媛で行われることになった。全国大会って47都道府県の持ち回りだから。それでとうとう愛媛県の持ち回りっていうのがきてしまったんだけど、それまで県大会とかないのに、文部省の意向の持ち回りだから全国大会をやるしかない。
そうなったら今度は「さぁ、みんな!県大会に参加しましょう!」って旗振り始めたんだよ。それで、僕が愛媛県の全国大会の審査員として呼ばれた訳ですよ。愛媛出身だから。

「ふざけんじゃない!」と思って(笑)。スピーチで「10年前になりますかねぇ…新居浜西高の我々が県大会に参加するのはダメだっておっしゃった方いらっしゃると思いますが、1歩前に出て頂けませんかね? 私、殴りますから。」って言ったんだけど、誰も出てこなかったんだよね!(笑)

 

髙坂:
(笑)

 

皆尾:
いなかったんですね!!(笑)そういうことにしましょう!!(笑)

 

鴻上:
10年経ったからねぇ。もう亡くなってたかもしんない(笑)。

要は、政治的なことなんじゃなくて、みんな機械的な判断だけなんだよね。「今までずっとこうだったからこうしてるだけ。」っていうね。
そこで誰かが身を張って「ふざけたこと言ってんじゃない!演劇部が交流なんかしたら絶対にアカになるんだ!だからダメなんだ!」って言ってくれたらものすごい分かりやすいいい話になるはずなんだけど。あの当時は演劇部が交流したらアカになるって言われてたから。
でも、だーれも、だーーれも言わないんだよね。結局今までのことを機械的に続けてるだけ。

…でも、というようなことに、実はめぐりめぐって感謝していて、その中学校と高校の思い出が僕の中でずっと燃えていることが、その後、プロの演劇人になっても演劇をやり続ける動機になったっていう感じがすごくあるんだよね。
かえって火をつけてくれたというか。

 

■ スタジオ全員、早稲田の同窓生!髙坂類と演劇

 

皆尾:
その後、鴻上さんは早稲田大学に進学されますけども、早稲田大学を選んだ理由というのは何だったんですか?

 

鴻上:
早稲田はなんか面白そうな奴がいるかなと思ったんだよね。

 

皆尾:
実は僕たち2人(皆尾・髙坂)も、早稲田でして。

 

鴻上:
はい、そうですね。

 

髙坂:
私も早稲田を選んだのは演劇のことも少しあったんですが。もともと高校の演劇部で。
…とは思えないほどの噛みようで本当に恥ずかしいんですが!(笑)

 

鴻上:
大学行っても演劇やったの?

 

髙坂:
でもすぐ離れてしまったんです。

 

鴻上:
一応どっか入ったんだ?

 

髙坂:
高校時代の演劇部の先輩がたと一緒にやろうと思って進学したんですけど、そのあとちょっと…

 

鴻上:
大学のサークルには入らなかったの?

 

髙坂:
サークルには入ってなかったです。

 

鴻上:
入んなかったんだ。
高校の演劇の先輩たちと、大学に行った東京で演劇をやろうとしてたってこと?

 

髙坂:
そうなんです。でもその後、離れてしまって。

 

鴻上:
そりゃだいたい普通にうまくいかないパターンだよね(笑)。

 

皆尾・髙坂:
ハハハハハ!(笑)

 

鴻上:
なんで早稲田でどっかのサークルに入ろうと思わなかったの?
劇研(演劇研究会)とか入ればよかったのに。

 

髙坂:
そうですよね(笑)。
高校の時の演劇部で全国大会まで行ったんですよ。

 

鴻上:
行ったんだ。あー、なまじそういう栄光があった訳だな(笑)。

 

髙坂:
それで、その先輩がたも「演劇があるから早稲田に行く。」と。そういうのもあってついていったんですけど、なんかちょっとそこで見失ってしまって。
「あれ、なんかちょっと演劇違うのかな?」っていう所で離れていってしまったんです。

 

鴻上:
でもよかったじゃない!卒業できたんでしょ?そしたら。
演劇なんか入ってたら卒業できないで終わりますからね(笑)。

 

皆尾:
RYMESTERってヒップホップのアーティストがいたギャラクシーっていうサークルに我々はいたんですよ。

 

鴻上:
あぁ、RYMESTER!はいはい。
えっ、ギャラクシーってことは音楽サークルってこと?

 

髙坂:
はい、ソウルミュージック研究会。

 

鴻上:
で、歌歌ってたの?

 

髙坂:
歌は歌ってないです(笑)。私はDJで。

 

鴻上:
あ、DJね。

 

皆尾:
時代はDJが流行ってた頃だったんでね。

 

鴻上:
あー、いわゆるDJね!クラブ系のDJね。

 

髙坂:
私はソウルバーで70年代のディスコみたいなのを…。おじさんおばさんを踊らせるようなのだったんですけど(笑)。

 

鴻上:
アナウンス研究会のDJじゃなくてね。なるほど。LOVEさんの方のDJね。

 

髙坂:
ラブ…ラブさん?

 

鴻上:
セカオワの「いつ仮面を脱ぐんだろう?君は一生ずっとピエロの顔のままなんだろうか?」っていう人。…まぁまぁ、人の人生心配してもしょうがないですね。

 

皆尾:
僕なんかも西高からの早稲田なんで、直系の後輩なんですが、なんか…します?

 

鴻上:
なんかします?(笑)

 

皆尾:
がんばります(笑)。

 

鴻上:
がんばってください(笑)。

 

■ 鴻上尚史は新居浜が大嫌い?その真意とは

 

髙坂:
新居浜時代は反骨精神と言うか、そういうものが培われたんですね。

 

鴻上:
そう。でも今は全部笑い話だけどね。
僕が自主映画をメジャーな所で撮ったんだけど、もう色んな雑音が入ってくるから、「ちょっとまてい!」というのがあって。「自分だけでやるから!」って。「サードステージ(第三舞台)っていう僕の会社で映画を作るから。」って。
最初3千万くらいでいけると思ったのに、気が付いたら7千万までに膨らんだんだけど(笑)。

それを上映して回んなきゃいけないから、「鴻上の講演会とセットで回ります。」って、全国に告知したんです。
それで松山とかは上映してくれて、「新居浜は郷土だからやって欲しいなぁ!」とかいう話をしたら、新居浜の映画館の人から「ごめんなさい、ダメです!」って言われて。「どうしてですか?」って聞いたら「なんか偉い人から『鴻上は故郷の新居浜のことが大嫌いだって言ってるから、そんな奴に講演と上映はさせん!』って言われました。」って言われて(笑)。

僕が言ったのは、「僕が東京で頑張れた理由っていうのは、もし僕が沖縄とか札幌とか博多とかみたいなすごい素敵な故郷だったら、多分途中で泣きながら帰ったんじゃないか…」っていうこと。
だって僕が出会った札幌とか小樽とか沖縄の人とか、だいたいみんな東京でしんどい目に合うと「もう故郷帰るわ。」って帰っていったもん。故郷の方がはるかに温かいからね。
だけど僕は、故郷の新居浜がいわゆる工業都市で、企業城下町で、別に沖縄的な風光明媚さや、博多的な何かがある訳じゃない。そういうことが僕にとっては、すごいよかった。歯を食いしばって「東京でやるだけやろう。」っていう動機になったから。

どうも、その話が巡り巡って伝わって「鴻上は故郷が大嫌いなんだ。」っていう風になったらしいんだよね。
でも、そういうことじゃないんだよな。何かを一方的に愛するっておかしいって僕は思ってて。いい面と悪い面が絶対にあるはずだから。

僕は新居浜っていうのは、愛媛の中でも割と開けた土地だと思ってるんだよね。新居浜・西高っていうのは、制帽を被らなくてもいい唯一の高校だったから。
昔ちょっと運動があって、男が制帽を被らなくてもいいっていう校則になったらしいんだよ。そしたら、県下の高校から「我々にも飛び火したらどうするんだ。」っていう抗議がすっごいきたのに、「制帽は被らなくても構わない。」ってなるんですよね。
だから新居浜っていうのは、愛媛県全体から見ると、わりと新しいものを喜ぶ人が多いと僕は思ってるんですよね。

 

髙坂:
そうですね。私もそう感じます。
やっぱり昔から住友関連で関係人口が多くて、人の出入りがあるっていう所で、そういう気風が生まれるのかなと。

 

鴻上:
そうそうそう!「住友さん」だったから、東京弁の転校生がよく入ってきた。
「…ってさ。」って言うような(笑)。
それを聞いて、「てさ!?」「ほぉー…。てさ!!!!」「そうかー!」みたいな(笑)。

 

皆尾:
新居浜はそこが交じり合ってるから。
地元の人が3割、よそから来た人3割、出戻りが3割って、今の新居浜の人口の比率は言われてますけども。

 

鴻上:
ありますね、そういうのね。

でも、もしこれを若い奴が聞いてたら、1回は新居浜を出た方がいいと僕はすごく思ってて。1回はね。
本当言うと、愛媛県も出た方がいいんだよね。
1回は愛媛県を出て、外で何かした後、帰ってくるのは全然いいんだけど。大学でも就職でもいいから、「愛媛県を外から見る」っていう機会を1回は経験した方がいいなとはすごく思う。

最近どんどん、愛媛の中の若者たちが増えてんだよね。愛媛から出なくてね。

 

皆尾:
そうですよね。
大学進学も、東京に行かない若者が増えていますね。特に東京の方には行かない若者が。

 

鴻上:
まぁ、大阪でも全然いいんだけど、新居浜から松山の大学行くっていうのはちょっともったいない。
だったらせめて、香川とか徳島とか高知とかに行って、ちょっと愛媛を客観的に見ると、やがて愛媛で働く時にも愛媛のプラスマイナスが分かるのに…っていう感じはします。

 

■ 鴻上尚史の後輩・新居浜西高の演劇部登場!

 

皆尾:
実は高校生がスタジオの観覧に来てくれています。

 

髙坂:
はい、新居浜西高の演劇部の皆さんが。

 

鴻上:
そうか、じゃあ質問があれば何か。

 

西高演劇部部長:
失礼しまーす。

 

鴻上:
名前言ってよ。自己紹介しないと。

 

西高演劇部部長:
(マイクの)高さ大丈夫ですか?

 

皆尾:
いいですよ。

 

髙坂:
大丈夫ですよ。

 

鴻上:
それが第一声かよ!(笑)

 

皆尾:
マイクチェックからね(笑)。はいどうぞ!

 

西高演劇部部長:
新居浜西高校演劇部・部長です!

 

鴻上:
まぁ、部長って偉そうに言ってるけど何人いるんだっけ?部員は?

 

西高演劇部部長:
3人ですっ!!!

 

皆尾:
よっしゃ!!!

 

鴻上:
よっしゃ!!!3人の!!!演劇部の…やっぱもう3人しかいねぇんだなぁ。一時期いなかった時もあるんだよな?

 

西高演劇部部長:
そうなんですよ~。そこから考えたらまだいるだけマシかな?という。

 

鴻上:
そうだよ、本当そうだよな。
でもおかしいよな!?鴻上尚史が出た演劇部が細々とやってるって!自分で言うのもなんだけどさぁ!

去年西高の生徒さんから来て欲しいって言われましたっていうから、「おっ!演劇部から呼ばれたか!」と思ったら「放送部です。」って言われて(笑)。放送部見たら10何人いてよ(笑)。
「あぁ、じゃあ分かった。声のレッスンしようか?」って言って。声のレッスン2時間ぐらいしながら「演劇部はどうしたんだ!」って言ったら「いやぁ、どこにいるんでしょうねぇ?」って。

 

西高演劇部部長:
いましたよー!

 

鴻上:
でもそこにはいなかったな?

 

西高演劇部部長:
はい…(笑)。
鴻上さんがいらっしゃったっていうことは後日談で聞かされました。

 

鴻上:
後日談だろ?
だって部室が工事になるって言うから「あっ、工事で潰されるんだったら最後見に行こう。」と思って部室まで行ったんだよ。
で、部室まで行ったら部室のすみっこに1枚の額が放り捨てられていて、「なんだこの額は?」と思ったらさっき僕が言った高校演劇コンクール2位の時の賞状だったんだよ!(笑)。「何故これが僕が行くときにあったんだ!?」みたいなね(笑)。

 

皆尾:
どうですか?部長?フォローは?フォローないのか?(笑)

 

西高演劇部部長:
あのー、ただいま情報が入ってきたんですけど、あれは間違って文芸部の部室に置かれていたらしいんです。
元々何故か文芸部の部室に置かれていて、それを文芸部が退出される時に置いていかれたそうです。

 

鴻上:
うん、で、それを僕が拾って、「演劇部の顧問の先生に渡してくれ。」って放送部に渡したんだよ(笑)。

 

西高演劇部部長:
今、新しい部室の真ん中に飾っております!

 

鴻上:
だって、唯一もらった賞状じゃないか。その後なんか賞状もらってんのか?

 

西高演劇部部長:
あっもらってますよ!

 

鴻上:
何もらったんだ?

 

西高演劇部部長:
今さっき私たちがあかがねミュージアムの円形ホールで上演した『これっくらいの、おべんと箱に』っていう作品があるんですけども、それは先日の県新人大会で1位を!頂きました!

 

全員:
おーーーーー!(拍手)

 

鴻上:
え!?待て待て!!新人大会は何分のものなの?

 

西高演劇部部長:
15分です!

 

鴻上:
あ、15分のものを新人大会でやってんのか!

 

西高演劇部部長:
はい!文化センターで。

 

鴻上:
いいタイトルだよね、『これっくらいの、おべんと箱に』っていうのも。

 

西高演劇部部長:
ありがとうございます!

 

鴻上:
あの内容からそのタイトルつけるって大したもんだな。

 

西高演劇部部長:
あーーー…(感涙)

 

鴻上:
今何年生なの?

 

西高演劇部部長:
今2年生です!

 

鴻上:
高2か。
それで?やがては何になりたいの?

 

西高演劇部部長:
やがて…

 

鴻上:
役者になりたいの?作家になりたいの?

 

西高演劇部部長:
あーーーその方向はちょっと今…

 

鴻上:
考えてないの!?

 

西高演劇部部長:
考えたこともありました。

 

鴻上:
それで?結局は?

 

西高演劇部部長:
結局は、国際系の大学に行こうかなーって。

 

鴻上:
国際系ってどこ行くの?

 

西高演劇部部長:
あ、国際系の学部のある大学に行こうかなと。

 

鴻上:
国際系ってどういうことするの?

 

西高演劇部部長:
あのー…英語を使いまして…

 

鴻上:
英語を使ってどうすんの?

 

西高演劇部部長:
グローバル社会に…

 

鴻上:
おー、海外出たいと?

 

西高演劇部部長:
はい。

 

鴻上:
あー、いい、いい。
そりゃいいじゃないですか。素敵じゃないですか。

 

西高演劇部部長:
ありがとうございます。
でも、演劇の道も本当にいいなと思ってて…

 

鴻上:
いや、役者よりも作家でいいんじゃねぇか?

 

西高演劇部部長:
作家ですか。

 

鴻上:
うん、あの15分は本当によかった。
よくできた脚本だと思うよ、本当に。実によくできた脚本。

 

西高演劇部部長:
ありがとうございます。ありがとうございます。

 

鴻上:
もし余裕があったら後ろにパネル立てるといいんだけどなぁ。
声が後ろに抜けるのですごい聞きづらいので。
パーテーションか何かあったら後ろに立てれるから。

 

皆尾:
あかがねの偉い人に言ってみよう!

 

西高演劇部部長:
ありがとうございます。

 

皆尾:
部長、何か質問はありますか?

 

西高演劇部部長:
鴻上さんが高校生の時に、演劇部は何人いらっしゃったんですか?

 

鴻上:
僕がさんっざん勧誘したんだよ。
「モテるぞー!モテるぞー!」って男を5人ぐらい勧誘した。

 

西高演劇部部長:
えーーー!5人!!

 

鴻上:
クラスで5人だぞ。近場ばっかりだよ(笑)。
僕が入った時に先輩に男の人が若干1名だけいたんだよ。それで、女の人が5人ぐらいで、6人ぐらい。
それに僕が入った時に、女の子も5人ぐらい入ったんだけど、男を4人入れて、僕含めて5人。
「モテるぞー!モテるぞー!」って言って。

 

西高演劇部部長:
その勧誘文句、使わせて頂きます。

 

鴻上:
そうだよ!
とにかく1本釣りしていくしかない訳で、「こいつちょっと興味ありそうだな。」っていう奴をとにかく引っ張っていくんだよ。
だって待ってたら来ないんだから。

 

西高演劇部部長:
もう行きます!釣りに行きます!

 

鴻上:
うん、釣りに行け釣りに行け!
ひとりイケメンくん入れると、それだけで3人ぐらいは女がついてくるからさ。
ひとり可愛らしい女の子入れると、3人ぐらい男がついてくるから。

 

西高演劇部部長:
今いるんですけどねぇ~…。(隣の女子部員に)

 

鴻上:
うーん、固い。ちょっと固い。ちょっと固いねー。

 

西高演劇部部長:
あっ、じゃあ、イケメンボーイと可愛い女の子を入れて。

 

鴻上:
そうそうそう。だって西高の演劇部だからなぁ。おっかしいなぁ。

 

西高演劇部部長:
盛り上がって欲しいですね。

 

鴻上:
だって顧問の先生、ニコニコしてるだけで何もアドバイスなかったから。でもニコニコしてるのが、すごいありがたい先生だったから。

 

皆尾:
見守っててくれたんですよね。

 

鴻上:
そうそう。だから、顧問がどうのこうのじゃないんだよな。やっぱり自分たちだから。

 

西高演劇部部長:
私たち次第ですよね。

 

鴻上:
そうです、本当そうです。

 

■ 新居浜で芝居を観られるということ

 

皆尾:
さぁ、次…と言いたい所なんですが、そろそろ時間がなくなってきたので、番組をお聞きの皆様にメッセージがあれば、お願いします。

 

鴻上:
普段、東京と大阪しか芝居をやらないんだけど、新居浜市のご厚意で4年も連続して新居浜市で公演ができているので、これを機会に演劇に親しんでもらえれば。…って自分たちで言うのも面はゆいんだけど。

僕、沖縄市でやってた国際演劇祭っていうのに毎年呼ばれてワークショップをやってたんだけど、お母さんたちが子供をつれて観に来るんですね。それが、毎年見てると子供たちの顔が変わってくる。だから、「直接演劇を観るっていうのはすごく力になるんだな。」って思ったんですよ。

新居浜に住んでると、出向かなきゃ演劇を観れないから、新居浜で演劇が観れるこんな機会は滅多にないので、是非観に来て欲しい。
我々もいつまでも呼んでもらえるか分からないしね。これを自分たちでやろうと思ったら、完全な赤字になってにっちもさっちもいかないから、新居浜市の力を借りてここまでこれてる。だから、これてる間に足を運んでもらえると嬉しいですね。

今回、4年間の中で1番チケットの最初の売れ行きがよかったんですって。それはやっぱり、4年間観てくれている人たちが「面白い。」「待ってました。」って思ってくださったみたいで。このチャンスを是非活かしてもらえたらな、と思っています。

 

髙坂:ありがとうございました!!!!!!!

 

鴻上尚史さん


鴻上尚史さんの最新舞台のおしらせです。

KOKAMI@network vol.17
「地球防衛軍 苦情処理係」
(引用:サードステージ公式 http://www.thirdstage.com/knet/CBKS/)

 

鴻上尚史さん作・演出のサードステージの新作舞台。

出演は、中山優馬/原嘉孝(宇宙Six/ジャニーズJr.)/駒井蓮/
矢柴俊博/大高洋夫(敬称略)ほか。

 

東京公演は2019年11月2日~24日、
大阪公演は2019年11月29日~12月1日。

くわしくは公式サイトへ。


鴻上尚史さんの情報です。
 
「第三舞台」公式サイトは こちら
「虚構の劇団」公式サイトは こちら
Twitterは こちら
「鴻上尚史のほがらか人生相談」は こちら

 
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